ニュートラル系白の手がかり(第3回/機関誌171号)

ソムリエ協会機関誌
171号(P.74-79)のメモ

 

●一般情報

【白の候補群体系】
 ⇒ニュートラル系◆
 ⇒セミアロマティック系
 ⇒アロマティック系
 ⇒オーク系
 ⇒グリ系

 

ニュートラル系の推理展開】
 1)ニュートラル系白で以下の特徴がある
  ⇒オークの個性が顕著ではない
  ⇒酸味が高い
  ⇒ミネラル感がある
  ⇒余韻に苦味や塩味を感じる
 2)内陸部で冷涼なニュートラル白か?
 3)沿岸部に近いニュートラル白か?

 

【内陸部で冷涼な産地のニュートラル白】
・香りはニュートラ
・品種のキャラクターが表現される
・酸味は比較的高め
・豊かなミネラルのニュアンス
・アルコール度数は低め
・ボディはスリムになる傾向。
・品種、産地の個性がより表現される

 

【沿岸部に近い産地でニュートラル白】
・沿岸部の影響を受け風味に塩味
・酸味は比較的高め
・アルコール度数やボディは産地により異なる
・地中海性気候ではAlc.度数が高くボディも厚い
・品種、産地、作り方の個性も表現される

 

●内陸部で冷涼な産地のニュートラル白
①シャスラ
・淡い黄色
・香りは非常にニュートラ
・柑橘系果実
・ほのかにフローラル(スイカズラ
・鉱物的なミネラル
・酸味は比較的低め
・強いミネラル感
・スリムなボディ
・アルコールは低め
◆ポイントは、
 ⇒骨太なミネラルで骨格を形成
 ⇒しかしAlc.が低めでスリムな印象

 

②アリゴテ
・艶のある黄色
・香りはシトラス〜オーチャードフルーツ
・フローラルではない
・嫌気的、好気的なニュアンスが混在。
・張りのある酸味
・苦みが残る
・フレンチオークのニュアンス
◆ポイントは、
 ⇒張りのある酸味と苦み
 ⇒フレンチオーク
 ⇒フローラルさは少ない

 

ピノブラン
・淡い黄色
・香りはニュートラ
・柑橘系果実
セミアロマティック(白い花)
・酸は比較的穏やか
・ソフトなボディ
・アルコールは比較的低め。
◆ポイントは、
 ⇒芳香性は豊かだが全体的にシンプル
 ⇒この中では酸味が一番穏やか
 ⇒ボディがまろやか
 ⇒Alc.低め


●沿岸部に近い産地でニュートラル白
④ミュスカデ
・淡いレモンイエロー
・香りはニュートラ
・柑橘系果実
・澱からの影響でイーストや
 白カビチーズやトーストなどの香り
・酸味は強い
・ライトボディ
・アルコール度数は低め
◆ポイントは、
 ⇒ミュスカデは澱の影響を感じる
  ⇒チーズ系の香りのニュアンス
  ⇒味わいでトースティなキャラクター
  ⇒シュールリーによる柔らかな印象
  ⇒イースト感と旨味を感じる余韻
 ⇒塩気はあまり感じない
 ⇒非常に軽やかでライトなボディ
 ⇒酸が比較的強くAlc.が低め
  ⇒ボディが優軽く酸を強く感じやすい?

・ミュスカデとアリゴテは類似する
・アロマティックさがないので
 アルバリーニョには行かない

 

⑤アルバリーニョ
・淡い黄色
・ピュアな黄色系フルーツ
セミアロマティック(白〜黄色の花)
・酸味は比較的高い
・MLFの有無
・アルコール度数は中程度
・フェノリックな苦み
・塩味を余韻に感じる
◆ポイントは、
 ⇒ピュアな黄色フルーツ
 ⇒比較的高い酸味
 ⇒厚い皮による苦み
 ⇒塩味のニュアンス
  ⇒塩味を感じるミネラル感
  ⇒ヨードや牡蠣のフィニッシュ
  ⇒塩味から旨味を伴う余韻

 

⑥アシルティコ
・黄色
・粘性が強い
・熟した黄色系フルーツの香り
・ほのかにハーブの香り
・スモーキーさ
・苦みを伴う収斂味のある酸味
・強いミネラル感
・図太いストラクチャー
・アルコール度数は高い
・ボディに厚みがある
◆ポイントは、
 ⇒苦味や塩味を感じる
 ⇒アシルティコは何でも強い印象
  ⇒酸や強い凝縮度による硬い骨格
  ⇒苦みや塩味も強め
  ⇒フルーツフレーバーも強め
  ⇒Alc.も高め


●見分け方


<①②③>
【色調】
 ・色調はアリゴテが濃い目の傾向あり。
  (他の二つは淡い傾向)

 

【香り】
 ・香りはいずれも柑橘系の傾向。
  シャスラとピノブランは白い花。
  ピノブランの方が少しアロマティック。
  アリゴテはフローラル感は少ない。


【味わい】
 ・シャスラはスリムなボディと低いAlc,
  加えてミネラルによる骨格の強さ。
 ・アリゴテは張りのある酸味が特徴。
  強すぎる酸味を抑えるため、MLFする場合も。
  他に酸味を抑えるために日照量を増やし、
  苦みが出てきている場合もあり。
  (アルバリーニョに似てくる)
 ・ピノブランは軽やかでライトなボディ

 
<④⑤⑥>

【他の候補】
・ミュスカデとアリゴテは類似する
・ミュスカデはアロマティックさが
 少ないのでアルバリーニョには振らない
・アルバリーニョの類似品種は
 類似品種はグリューナとヴェルデッキオ
 ⇒グリューナは塩味より鉱物のミネラル

 


●メカニズム情報
・一般的に白は香りの要素が少ない
 ⇒果汁のみを発酵させて作るため
 ⇒ニュートラルな特徴になりやすい
シュールリーの影響
 ⇒テクスチャに厚みが出る
・澱の影響
 ⇒アーモンドやクリームチーズの香り
・発酵由来の花の香りがある。ジャスミン
 ⇒第二アロマなので若いヴィンテージ?
・酸味の捉え方。
 ⇒アタックから中盤にかけてをまず見る。
 ⇒さらに余韻までどこまで伸びるかも見ている。
 ⇒最後にどのように味わいに影響を与えているか。
・第三アロマが際立つ
 ⇒ある程度年数が経過している
・酸を減らすために太陽に当てる
 ⇒その分わずかに苦味が出てくる
 ⇒アフターの苦味は果皮が厚い品種かも
  ⇒アルバリーニョは皮の厚い品種
・最初に少し気泡がある
 ⇒スクリューキャップを疑う
・第三アロマが際立つ
 ⇒ある程度時間経過している
・年数経過の酸への影響
 ⇒年数経過でこなれてきた酸味に変わる
・ミネラルの広がり方?
 ⇒シャスラは中心に向かっている?
 ⇒アルバリーニョは横に広がる??
・還元状態とミネラル感の見分け方?
 ⇒見分け方は紙一重
 ⇒還元はよりスモーキー
・産地の違い
 ⇒ガリシア
  :海洋性で雨が多い気候
 ⇒サントリー
  :太陽輝くエーゲ海の地中海性気候
 ⇒フルーツに暖かみを感じるのは後者