グルナッシュの土壌による違い(検証編)

今回テイスティングした
6つのワイン(グルナッシュ)に対して
機関誌に載っていた情報が正しいのか
以下で確認していきます。

 

【機関誌の情報】
 ⇒リンク

 

テイスティングワイン概略】
●産地(リンク先にコメント詳細を記載)
コートデュローヌ
スワートランド(南ア)
プリオラート
バロッサバレー
シャトーヌフデュパフ
セントラルコースト
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●品種
①グルナッシュ80%、シラー20%
②グルナッシュ100%
③グルナッシュ50%、カリニャン50%
GMSブレンド
⑤グルナッシュ80%、他20%
⑥グルナッシュ100%
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●土壌
①粘土質
花崗岩質、砂岩
③スレート
④粘土質
⑤赤粘土?砂質?玉石?
⑥粘土質
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Alc.度数
①14.0%
②14.0%
③15.0%
④13.5%
⑤14.5%
⑥14.1%
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●各ワインの主な特徴
①パワフル、果実味
②エアリー、熟度高い
③リキュール香、高Alc.、高収斂
④スパイシー、煎りたての黒胡椒
⑤動物的、焼いたゴム、閉じ気味
⑥香木、上品な華やかさ
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●外観

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<検証内容>

【品種特性】
・色調は淡い
 ⇒①②⑤⑥は透明度の高いルビー
 ⇒③④は光を通すルビー色
  ⇒③はカリニャン50%
  ⇒④はGSMブレンド
・タンニンは軽め
 ⇒②④⑤⑥は軽め
 ⇒③①がタンニン重め
  ⇒①はシラーブレンドによる?
  ⇒③はスレート土壌による?
   (カリニャンは渋味少ない)
・糖度が上がりやすく高Alc.
 ⇒いずれも13.5~15.0%と高い
・逆に酸は落ちやすい
 ⇒酸を強く感じたワインはなし

 

【ワインの特徴】
・暑く乾燥した産地ではジャミー
 ⇒ジャミーさは②が顕著
・地中海性気候ではガリーグ*
 ⇒①③⑤が地中海性
  ⇒黒胡椒とは違う
   スパイシーさ
   ⇒情報は取れなかった。
 ⇒④が特にスパイシー
  ⇒シラーブレンドによる。
・旧世界では動物的ニュアンス
 ⇒ローヌの①⑤は動物的
 ⇒プリオラート③は感じない
・果実味がある味わい
 ⇒①は特に果実味あり
・タンニンはソフトで柔らかい
 ⇒①③以外は軽め
・熟成感が早くに出る
 ⇒エッジの色調は以下
  ④2011年:オレンジ
  ⑥2012年:オレンジ
  ⑤2015年:オレンジ
  ②2016年:オレンジ
 ⇒③2017年:紫(カリニャン?)
 ⇒①2018年:ピンク

 

【土壌の影響】
●砂質土壌
・香りは華々しくフローラル
・赤系フルーツ主体でチャーミング
・キメの細かいしなやかなタンニン
・軽やかでエアリーなテクスチャー
 ⇒エアリーさがあったのは②④
 ⇒華やかさは②⑥
 ⇒きめ細かさは②⑤

●スレート土壌
・力強く疑縮感に富んだ印象。
・酸/Alc./タンニン全て突出して堅牢。
・砕いた岩のようなミネラル感
 ⇒③は全てが突出
  ⇒Alc15.0%
  ⇒マウスコーティング
  ⇒比較的酸味あり

●粘土石灰
・フルーツの熟度も高く密度も高い
・たくましいタンニン
・ボリュームとストラクチャがあり筋肉質
・ミネラル感よりは濃縮した果実感が優勢
Alc.度数は低くめで柔和なテクスチャ
 ⇒①④⑥は中程度のタンニン感
  ⇒④⑥はより溶け込んでいる?
   ④2011年/⑥2012年
 ⇒①⑤⑥は比較的筋肉質?
  ⇒②④はエアリー
  ⇒③は全てが突出
 ⇒①は特に果実味が強い印象

 

【結論】
・砂質土壌がエアリーな
 テクスチャになるのは
 おそらく正しそう。

・スレート土壌では
 酸、Alc、タンニンの
 全てが突出するワインに
 なりやすいのもおそらく正。

・粘土質はその中間の印象。

・ただし、
 熟成年数やブレンドにより
 印象は変わるので注意。

・品種特性も一通り正しい。

・動物的ニュアンスは
 ローヌでは感じられる。
 スペインではあまり感じない。

・オレンジのエッジは
 2016年頃から見られる。

ガリーグは分らなかった。
 少なくとも黒胡椒的な
 スパイシーさではなさそう。

・グルナッシュは
 ブレンド品種の特徴を
 反映しやすい。
 (シラーやカリニャン)