オーストラリア


【オーストラリア】
----------------------------------
【プロフ】
・面積は約ヨーロッパの7割
・東西に3000km
・南緯31-43度の間に位置
・栽培面積はボルドーより2万ha多い程度(13万ha)。
・代表品種はシラーズ
・114の地理的呼称(GI)がある
・輸出がワイン生産量の6割を占める。
・灌漑が必要であり廉価ワインは価格競争に不利
・高品質ワインは大きな問題にはならない。
・2016年のワイナリー数は2300軒(ピークは2014年)
 90年代後半から3倍ほどワイナリーが増加
・大手生産者26社が生産全体の88%を占める。
----------------------------------
【歴史01】
〇18世紀~WW2
①1788年
②1825年
1831年
1840年
⑤1877年
1860年
1880年以降
⑧1929年以降
⑨1930年代
--
①:初めて豪州(シドニー)にブドウが持ち込まれる
 :Arthur Phillip大佐
②:James Busby本格的なブドウ栽培
 :@ニューサウスウェールズ州
 :「オーストラリアブドウ栽培の父」
③:欧州のブドウ樹を「王立しどにー植物園」に
 :「バズビークローン」
  ⇒PNの「MV6」@クロ・ド・ヴージョ
④:ヴァロッサヴァレーにドイツ系移民
  ⇒クレアヴァレーやイーデンヴァレーにRie
⑤:ヴィクトリア州でフィロキセラ
  多くの古樹はなぜか被害を免れ現存している
⑥:ヴィクトリア州ゴールヴァンヴァレー
 :1860年に植栽の「ダビルク」のシラーズ
 :最古の古樹は1843年のシラーズ
 :ヴァロッサヴァレー「Langmeil Winery」
⑦:テーブルワインから酒精強化へ
 :ポートワインがフィロキセラ害を受けたことによる
⑧:英国の優遇政策→大部分が酒精強化に
⑨:生産の7割以上が南オーストラリア州
----------------------------------
【歴史02】
〇戦後~
①1950年以降
②1940年代
③1951年
④1960年代
--
①:酒精強化からテーブルワインに
 :ドイツの低温発酵→リースリングが盛んに
②:ペンフォールド社Max Schubert
  ボルドーの赤ワインの影響を受ける
③:Grange Hermitage BIN1
  ・複数の異なる畑のシラーズ100%
  ・アメリカンオーク
  ・樽内で発酵を終了
  ⇒60年代フランス人の評価で本格化
④:一人当たりのワイン消費量増加
----------------------------------
【歴史03】
〇二方向のワイン作り
①マルチリージョナルブレンド
 :量販品から高級品まで
 :ペンフォールド社「グランジ
②単一畑の最高峰
 :単一畑高樹齢
 :Henschke社「Hill of Grace」
----------------------------------
【歴史04】
〇1970年代~
①70年代
②80年代
③90年代
④90年代末
--
①:Caskと呼ばれるバックインボックス(BIB)
 :ジェネリック名の白ワイン
 :赤ワインは青臭い&低AlcのCSが好まれた
②:冷涼地のChやPN
③:ワイン産業の開花
 :ジェネリック名の禁止(94年)
④:シラーズが代表品種に
 :完熟、長熟、高Alc(14%)のワインへ
----------------------------------
【歴史05】
〇有力ワインメーカー(ビッグ5)
①サウスコープ社
②ミルダラ・ブラス社
③BRLハーディ社
④オーランド・ウィンダム
⑤ローズマウント社
--
①:ペンフォールズ、ウィンズクナワラ
②:ウルフ・ブラス、ミルダラ
 :ビール会社「フォスターズ」の子会社
③:ビール会社「フォスターズ」の子会社
④:ジェイコブス・クリーク
----------------------------------
【歴史06】
〇2000~2005年 業界再編
①ミルダラブラスがベリンジャー(米)を買収
 →ベリンジャー・ブラスに
②サウスコープがローズマウントを買収
 →株を逆保有し経営逆転
コンステレーションブランズがBRLハーディを買収
 →世界最大のワイン会社に
 →のちに売却し「Accolade Wines」に
④フォスターズがサウスコープを買収
 →「フォスターズ・ワイン・エステーツ」に統合
 →「Treasury Wine Estates」に改名し独立
⑤家族経営ワイナリーの台頭
 イエローテイルの「カセラ・ワインズ」
 →5年で800万ケース
----------------------------------
【歴史07】
〇スクリュー栓の拡大
①2000年:白にスクリューを採用
 :クレアヴァレーのRie生産者「Grosset」
②2003年:ラベルに卵白の表記義務
----------------------------------
【歴史08】
〇ワイン作りの開花とナチュラルワイン
①:伝統スタイルから現代スタイルへ
 :伝統は新世界的な力強さ
 :現代はローヌ的
②:自然発酵と亜硫酸の使用減
----------------------------------
【気候風土】
①クナワラ、ライムストーンコースト
②マセドン・レーンジス
マクラーレンヴィル
④モーニントン・ペイシュラ
タスマニア:ジュラシック・ドレライト
--
①:テラロッサ土壌(CSに向く)
②:花崗岩
③:砂質ローム土壌
④:火山性土壌
⑤:ジュラシック・ドレライト
--
・ワイナリー間で密集しない
 ⇒灌漑用水の制限がある
 ⇒ブドウ以外も栽培しリスク分散
 ⇒土地が広い
・各州の品評会
 ⇒赤「Jimmy Watson Trophy」1962年~
----------------------------------
【食文化】
・1997年 香港が英国から返却→英国移民が豪州に
メルボルンはグルメの都
シドニーの有名レストラン「Tetsuya's」◆
・ワイン持ち込みBYOの文化◆
----------------------------------
【主なブドウ品種】
〇白品種
 ①Ch
 ②SB
 ③Semilon
 ④PG
〇黒品種
 ①Shiraz
 ②CS
 ③Merlot
 ④PN
⇒全体の栽培面積最大はシラーズ
----------------------------------
【ワイン法と品質分類】
----------------------------------
【ワイン法の歴史】
・1929年:ワインオーストラリア公社(WAC)設立
・豪州/NZ食品基準機関(FSANZ)
 ・ワインはアルコール4.5度以上◆
 ・補糖禁止
 ・酸化防止剤と保存料の表示義務◆
  220亜硫酸
  200ソルビン酸
  300アスコルビン酸(ビタミンC)
・1993年 GIが導入
・2012年出荷前検査廃止(100L以下のみ)
・GIの決定機関はGIC
・2008年:保護表示をEUと合意
・2010年:Genelic名称の使用禁止◆
・WACとGWRDCの合併⇒AGWAアデレード
----------------------------------
【地理的呼称(GI)】
①GI表示
②ヴィンテージ表示
③ブドウ品種表示
--
①:特定のGIが85%以上でGI表示可
 :3つ以下のGIが合計95%で3つ表示可
②:特定のヴィンテージ85%で表示可
③:特定の品種が85%以上は単体のみ可
 :各20%以上で3品種以下、計85%以上は全て
 :各5%以上で5品種以下は全て表示
----------------------------------
【古木憲章】
〇2009年「Barossa Old Vine Charter」
 :樹齢_35年以上:Barossa Old Vine
 :樹齢_75年以上:Barossa Survivor Vine
 :樹齢100年以上:Barossa Centenarian Vine
 :樹齢125年以上:Barossa Ancestor Vine
----------------------------------
【ワインの産地と特徴】
----------------------------------
【州】
西オーストラリア州
南オーストラリア州
③ヴィクトリア州
ニューサウスウェールズ州
タスマニア州
クイーンズランド州
----------------------------------
西オーストラリア州
----------------------------------
【プロフ】
・豪州ワイン生産量の2%(品質はトップクラス)
・産地は南北110km/東西27kmの範囲
・英国移民により生産開始(1820栽培→1834生産)
・1937年 Houghton社により産地として明確化
 シュナンブラン「Houghton White Burgundy」
・1955年:Harold Olmo博士の調査
・1956年マウントバーカーとフランクランドリヴァー
 →グレートサザンでブドウ栽培
・1963年マーガレッドリヴァーでも調査
 →1966年適正地であることを報告
 →その後、多くのワイナリーが設立
 →結果的にマーガレットリヴァーが代表産地に
----------------------------------
【産地】
①Swan District◆
Perth Hills
③Margaret River◆
④Great Southern◆
--
①:英国、イタリア、ユーゴスラビア移民により
  西オーストラリア最初のワイン産地
 :海風(フリーマントルドクター)が吹く
③:地中海性気候◆
 :最も西側に位置
 :CSとChのファインワイン代表地
 :ワイナリー数は200以上
 :多くがレストランを併設(セラードア)
 :2016年はSBが栽培面積トップ◆
 :1999年6つのサブリージョン(案)
  Wilyabrup(CSが集中)◆
  Wallcliffe、Karridaleなど
④:巨大なユーカリ森林に覆われている
 :土壌はコーヒーロック(鉄分を含む赤茶色の岩石)
 :5つのサブリージョン
 :Mount Barkerは1965年④最初の産地◆
  「フォレストヒルヴィンヤード」
   豪州を代表するリースリング
 :Frankland Riverはシラーズ
 :Denmarkは冷涼な海洋性気候
 :Porongurupは唯一の花崗岩
----------------------------------
南オーストラリア州
----------------------------------
【プロフ】
・1836年最初の移民が入植
・生産量は豪州の大半を占める◆
・世界で最も古いシラーズの樹が存在
・フィロキセラの被害を受けていない
・AWRIにてワインの研究
 シラーズの胡椒の原因物質「ロタンドン」
アデレード周囲の6産地とクナワラ
・マウントロフティーレンジス
・GIバロッサ=①+②
 山の土壌 :②③④
 平地の土壌:①⑤
 海の土壌 :⑥⑧
----------------------------------
【産地】
①Barossa Valley
②Eden Valley
③Adelaid Hillls
④Clare Valley
⑤Mclaren Vale
⑥Langhorne Creak
⑦Limestone Coast
⑧Coonawarra
⑭Kangaroo Island
⑮Riverland
--
①:シラーズの首都といえる重要産地
 :シラーズの栽培面積5割。黒品種85%
 :ワイナリー数150以上
 :100年以上の古木が豊富
 :最古のシラーズは「Langmail Winery」1843年
 :2009年「Barossa Old Vine Charter」(古木憲章)
 :08年より土壌の関係を解説(Barossa Grounds)
②:シラーズとリースリングの重要産地
 :1864年植栽のシラーズ⇒Henschke Hii of grace
 :アイアンストーン土壌のリースリング
  ⇒有名な畑「Pewsey Vale」
 :ワイナリー数は20(地図上は広いが生産小)
 :灌漑用水の確保が困難で新規参入難
 :①②合わせてGI Barossaを名乗れる。
④:最初に設立されたワイナリー
  ⇒「Sevenhill cellars」1851年
 :「Grosset」が2000年にスクリュー採用
⑤:イタリア系やスペイン系品種が多い。
⑦:南東側の地域一体。複数のGIを包括。
⑧:豪州を代表するCSの銘醸地◆
 :テラロッサ(赤い粘土質表土と石灰岩質)
 :テラロッサ土壌は葉巻状の位置に集中
 :ジョン・リドックが最初のブドウ樹◆
⑭:マウント・ロフティー・レンジズの起点
  ⇒⑭③②④(①⑤⑥は曖昧)
⑮:量販用ワイン生産地。
 :同州の60%のワインを生産。(国全体の30%)
 :灌漑用水の高騰により厳しい価格競争に。
アデレードの標高
①250-350m
②400-550m
③400-600m
④400-500m
⑤050-200m
----------------------------------
【ヴィクトリア州】
----------------------------------
【プロフ】
・中小規模生産者中心のワイン産地
メルボルンを含む
・冷涼産地の美点を生かしたワイン造り
1838年に同州最初のワイン用ブドウ植栽
1860年代:英国向けが最多「英国民のブドウ畑」
・400以上のワイナリー
----------------------------------
【産地】
①Yarra Valley◆
②Mornington Peninsula◆
③Geelong◆
④Goulburn Valley
⑤Rutherglen◆
⑬Henty◆
--
①:ヴィクトリア州を代表する産地
 :メルボルンから車で1時間程度
 :多くがセラードアを併設
 :1838年に同州最初のワイン用ブドウ植栽◆
 :酒精強化の流れで1921年に生産停止(60年代再開)
  植物学者Bailey Carrodus博士など
 :1986年シャンドン・オーストラリア設立
②:PNの重要産地に成長中◆
 :2003年「MP IPN Celebration」
 :2017年「Australian PN Challenge」←MPVA
 :酒精強化の流れで20年頃に生産停止(70年頃復活)
 :裕福層のセカンドハウス→土地が高騰
 :ワイナリー数は約30
 :クローンは「MV6」(クロドヴージョクローン)
③:1877年最初にフィロキセラが発見される◆
④:1860年 Tahbilkが設立(最も長い歴史)
 :歴史的建造物の木造セラー
⑤:マスカット/ミュスカデルの酒精強化の産地
⑬:オーストラリア大陸で最も冷涼
----------------------------------
ニューサウスウェールズ州
----------------------------------
【プロフ】
・豪州ワイン産業の起源。
・首都キャンベラを含む
・James Busby本格的なブドウ栽培1825年
 「オーストラリアブドウ栽培の父」
・1970年代シドニー周辺で開始
 →1820年代ハンターバレーに
 →1970年代から重要拠点は南豪州に
----------------------------------
【産地】
①Hunter
②Mudgee
③Orange
④Hastings River
⑤Riverina
--
①:代表品種はシラーズとセミヨン
 :最初のブドウ樹は1825年(ジェームス・バズビー)
 :ハンターセミヨンとして有名
  ⇒100%の辛口スタイル(ボルドーと異なる)
 :60-100年のシラーズの古木が豊富
②:アボリジニ言語で「丘のある巣」の意。
③:標高600-900m
 :積算温度1200-2000℃と幅広い
④:カビ対策の交配品種Chambourcin◆
⑤:ヴィクトリア州ワインの55%を生産
----------------------------------
タスマニア州
----------------------------------
【プロフ】
・PNとChの重要性産
・最初のワイン用ブドウ樹は1823年
・島全体は北海道の8割程度の広さ
・37%が自然遺産や自然保護区(主に西部)
・生産量はPN44%、Ch23%
・大手生産者の瓶内二次と小規模生産者
・ランセストン(北部)はマールボロと同緯度
ホバート(南部)は非常に冷涼
・ジュラシックドレライトの土壌
----------------------------------
【産地】
①Tamar Valley◆
②Pipers River
③Coal River Valley
--
①:タスマニア生産量の5割。
 :海よりのPNは冷涼で赤果実
 :川上流のPNは温暖で黒果実
②:スパークリングの畑の拠点に
 :PNはクローヴやユーカリ香を持つ
③:非常に冷涼。華やかで赤果実。
----------------------------------
クイーンズランド州
----------------------------------
【産地】
①Granite Belt
②South Burnett
--
①:北よりだが標高が高く冷涼
 :最初のワイン用ブドウ(シラーズ)は1965年
  ⇒元々はイタリア人による食用ブドウ産地
②:近代的なワイン生産は1993年から
----------------------------------
【酒精強化ワイン】
----------------------------------
【概要】
・1930-60年代は酒精強化が70%を占める
・主な生産地
 バロッサヴバレー(南オーストラリア州)
 ラザグレン(ヴィクトリア州)
・2008年よりジェネリック表示の禁止
----------------------------------
【名称変更(2010年以降)】
シェリー⇒Apera
②ポート⇒Fortified
③トカイ⇒Topaque
--
①:4種類(ドライ/ミディアムドライ/スイート/クリーム)
②:トゥニー
  ⇒ソレラシステムを採用
  ⇒シラーズ、グルナッシュ、ムールヴェードル◆
 :ヴィンテージ:シラーズを使用
  ⇒長めの発酵期間、熟成は1-2年と短め
③:品種はミュスカデル
 :Rutherglen:3-5年熟成。残糖180-240g/L
 :Classic:6-10年熟成。残糖200-280g/L
 :Grand:11-19年熟成。残糖270-400g/L
 :Rara:20年以上熟成。残糖270-400g/L
----------------------------------